Posted on 2017/02/13
さがみロボット産業特区 平成28年度「公募型ロボット実証実験支援事業」『遠隔操作ロボットの高齢者施設利用者による操作 実証実験』を実施しました。
日時：2017年1月26日（木）
場所：社会福祉法人 聖隷福祉事業団 高齢者複合施設「聖隷藤沢ウェルフェアタウン」
体験者様：施設職員や施設利用者の方々（30歳代〜70歳代男女）
見学者様：施設職員や施設利用者の方々（30歳代〜70歳代男女）
【調査内容】
・操作性や疲労感などを検証するとともに、擬似外出感などについても定性的に調査、コクピットの設計検証
・コミュニケーションを受ける側（見学者）から感じる遠隔ロボット印象調査
【実験の流れ】
〈操縦体験者〉
- 実験内容説明
- 操作説明
- 遠隔操作ロボット操縦
- アンケート
- 意見交換
〈見学者〉
- 遠隔ロボットの説明
- 遠隔操作ロボット操縦見学
- 意見交換
【実験結果】
みなさん基本操作はすぐに理解され、即操縦できました。ロボットを動かすことができなかった人はひとりもいませんでした。ヘッドセット（イヤホン、マイク）を装着しての体験は数人でしたが、相手の声も聞き取れ、会話をすることができました。マスタースレーブの腕部によるジェスチャー表現も簡単に行えました。ヘッドマウントディスプレイへの違和感はあまりないようで、相手の表情や仕草も確認できコミュニケーションがとれていました。
短い時間、狭いエリアでの操作体験でしたが、操縦は楽しく、遠隔ロボットによる外出の可能性を感じられたというご意見もいただけました。
その中で改善点もいただきました。
ヘッドマウントディスプレイ着用による眼精疲労、VR酔いを感じる方も数人いらっしゃいました。全く感じていない方もいましたが、映像の遅延や、ピント調整をより改善していく、または新しい映像表示方法の必要性を感じました。
他に、ロボット移動用のジョイスティック形状に関して、手が震える方もいるので、コクピット固定のタイプや太めのコントローラーはどうかとのご意見をいただきました。
操縦時の距離感も慣れるまで時間がかかりそうだとの声もあり、ものにぶつかる不安を解消するためにセンサーをつけ、ロボットが自動で止まるなど対応していきたいと思っています。
コクピット設計の点では、現状よりもより操縦者の体型や体格にそった自由度の高いコクピットをとの声もいただきました。いろんなジェスチャーをしたいのに、腕の位置が悪いのかロボットの腕が思ったほど上がらないなど。
やはり腕がついているので物をつかんだりできたらより実用性が高まるとの声や、ロボットの形状でいえば、家などでの利用の場合、細いところでも移動できるよう小さく軽く壊れにくいロボットを作って欲しいとの要望もいただきました。
見学者からは、家族がロボットであった場合、操縦者の顔が見えないのはさびしいとの意見がありました。なかなか会うことのできない相手（お孫さんなど）に出会った際、操縦者（高齢者など）の表情も伝えられることで、より双方の心が豊かになると感じました。自分の気持ちを表現できる機能（色のライトで表現したりなど）も検討してみたいと思いました。そして、ロボットの外装は丸みがあってかわいいものを期待される声が多くありました。
体験されたみなさん、ヘッドマウントディスプレイからロボットになったご自身の腕を見た際、「おお、これが自分の腕か〜」と頬を緩ませながら驚きと未来への期待をあらわにされていました。見学者の方も高齢者ながらインターネットを利用されている方が多いのか、仕組みをすぐに理解され、「こんな使い方はできるの？」「自分なら海外を見てみたい」など希望をお話しいただく場面もありました。
体験・見学にご参加いただいた方々、実験会場をご提供いただいた社会福祉法人 聖隷福祉事業団のみなさま、すべての調整・セッティングをしていただいた さがみロボット産業特区のみなさま、誠にありがとうございました。頂戴した改善点などは検討後、ロボットへフィードバックしていきたいと思います。
2月21日（火）に、神奈川県主催で平成27年度 公募型「ロボット実証実験支援事業」の報告会を開催いたします。当日は、展示やデモ、体験会を行います。
【日時】2017年2月21日 / 10:00〜16:30
【場所】ユニコムプラザさがみはら(ｂｏｎｏ相模大野サウスモール３階)
